クレジットカードの不正利用の被害は増加傾向にあります。

引用元:クレジットカード不正利用被害の発生状況(一般社団法人日本クレジット協会)(最終閲覧日:2020年1月14日)
https://www.j-credit.or.jp/information/statistics/download/toukei_03_g_191227.pdf
不正利用は多くの人にとって身近な犯罪で、いつ巻き込まれてもおかしくありません。
被害を防ぐために大切なのは、不正利用の手口を知り、普段からそれに応じた対策を講じることです。
犯罪に巻き込まれることなく、安心してクレジットカードを使うためには、何に気をつければよいのでしょうか?
ここでは、誰でも簡単にできる7つの対策について解説します。


被害を最小限に抑えるためにも、その対策を確認しておくべきや!
目次
「不正利用かもしれない」と思ったら確認すべきこと
不正利用らしき利用履歴を見つけたらどうすればよいのでしょう?
まず、現在置かれている状況を把握することが大切です。
確認すべきは利用明細です。
普段から利用明細を確認する習慣が身についていれば、不正利用もいち早く察知することができるでしょう。
明細書で確認すべきポイントは次の通りです。
- 利用した日付
- 購入した商品やサービスの内容
- 利用金額
- 利用した店舗名・支払い先名の表記
カード会社によっては、売り上げの計上手続きに数日かかることもあります。
そうなると、利用明細には決済日より後の日付で利用履歴として反映されることになります。
そして利用明細を見ていると、身に覚えのない店舗名が記載されていることがあるかもしれません。
この場合、実際の店舗ではなくその店舗を経営している会社である可能性があります。
ですから、商品や金額もあわせてチェックし、1つ1つ整合性を確認すると不正利用かそうでないかがわかるはずです。
これらを確認しても、なお身に覚えのない履歴があった場合、不正利用が疑われます。
身に覚えのないクレジットカードの使用履歴の原因としてよくあるのが、実は家族が使用していたというケースです。
手持ちのクレジットカードを、家族で共用にしていないか確認してください。
クレジットカードは原則として契約者本人しか使うことができません!
不正利用を疑う前に、家族の使用について確認し、クレジットカードの家族共用はすぐにやめましょう。
不正利用に気付いたときの対策
慌てずに対処するためにも、不正利用に気付いたときにとるべき対応を知っておきましょう。
クレジットカードの利用停止申請
不正利用であることが確定したら、まずはカード会社に連絡して不正利用されたクレジットカードの利用を停止してもらいましょう。
カード会社にはそれぞれ、盗難・紛失時の専用番号があり、緊急時に備えて24時間受け付けています。
利用明細などからわかることを、できるだけ詳細にカード会社に伝えてください。
連絡が遅れてしまうと被害がさらに拡大するおそれもあるので、不正利用が判明した時点で連絡を入れましょう。
万が一のときすぐにカード会社に電話できるように、あらかじめカード会社の番号を控えておくのがおすすめです。
被害届の提出
カード会社に利用停止の連絡をした後は、警察へ被害届を出してください。
これは盗難保険を請求するために必要な手続きです。
届けを出した際に発行される受理番号は、保険請求のためカード会社に伝えなければなりません。
受理番号の紙は保管しておき、別の場所にもきちんと番号を控えておきましょう。
新しいクレジットカードの発行手続き
利用停止の手続きをするとそのクレジットカードは使用できなくなるので、新しいカードの発行手続きをしましょう。
注意したいのは、公共料金や携帯電話代金などを被害にあったクレジットカードで支払っていた場合です。
クレジットカードの変更手続きが必要になるので、新しいカードが届いたらできるだけ早く支払いの変更手続きをしましょう。
そうしないと、料金の支払いができずに延滞扱いされるおそれがあります。
クレジットカードの不正利用を防ぐ7つの対策
では、クレジットカードの不正利用はどのようにして防ぐことができるのでしょうか?
ここからはその防止策を紹介していきます。
【不正利用の対策1】書類を放置しない
ATMの明細や利用明細、レシートなど、クレジットカード情報がわかる書類を放置するのは避けましょう!
書類から第三者に情報が漏れてしまうおそれがあるからです。
カード番号と有効期限などの情報があれば、ネットショップ でのクレジット決済が可能です。
このような情報は、悪意のある人間にとっては格好の的となってしまいます。
【不正利用の対策2】書類の処分を工夫する
利用明細などの書類や有効期限の切れたクレジットカードなどの処分方法には気を配りましょう。
例えばクレジットカードの情報が含まれたゴミが、ゴミ捨て場にしばらく放置されていたらどうなるでしょうか?
悪意のある人間にとっては、不正利用に使える情報の宝庫であるに違いありません。
クレジットカードは、シュレッダーにかけたりハサミで細かく切ったりして処分しましょう!
【不正利用の対策3】カードを手放さない
クレジットカードは常に手元に置き、手放さないようにすることが大切です。
クレジットカードを見られただけで、氏名・番号・セキュリティコードなどの情報が漏えいしてしまうおそれがあります。
例えば会計のときに情報を見られたり、目を離している隙に盗み見られたりすることも考えられます。
いくら親しかったり近い関係だったりするからといって、基本的に自分以外の第三者にカードを見せるべきではありません。
【不正利用の対策4】カードが不要なら解約する
保有するクレジットカードの中で、1年に数回しか利用していなかったり、長年利用していなかったりするものはないでしょうか?
そういったクレジットカードを解約すれば、当然その情報は無効となります。
不要なクレジットカードを解約することで、情報漏えいや不正利用のリスクを減らすことができます。
さらに年会費がかかるクレジットカードの場合、費用の節約にもなり一石二鳥です。
クレジットカードの解約方法はこちらをご覧ください。
【不正利用の対策5】怪しい通販サイトを利用しない
インターネット上での悪質業者によるネットショッピング詐欺の被害は後をたちません。
怪しい通販サイトを利用すると、注文した商品が届かないばかりではなく、ウイルスに感染したり、支払いのために入力した個人情報が抜き取られたりするおそれがあります。

例えば「同じ商品でも他のサイトに比べて値段が異常に安い」「書かれている日本語がおかしい」など、明らかに怪しい通販サイトは使わない方が安全です。
買い物をする前に、サイトが怪しくないかどうかのチェックを怠らないようにしましょう。
フィッシング詐欺の手口と対策についてはこちらをご覧ください。
情報漏えいや不正利用の被害を防止するためには、信頼できるサイトから買い物することが大切です。
信頼と実績のある大手サイトであれば、セキュリティコードや本人認証などの対策が徹底しているなど、顧客を守るための対策もきちんとなされているはずです。
逆に、個人で経営しているネットショップ など、安全かどうかわからないサイトを利用しようとするときは特に注意してください。
買い物をする前に、セキュリティ対策の有無やサイト全体の安全性をチェックするなどしましょう。
サイトか安全かどうか見分ける方法の1つとして「SSL認証」がされているかをチェックする方法があります。
SSL認証とは、「そのサイトが実在するものであること」そして「暗号化技術を用いてやりとりを行なっていること」を意味しています。
SSL認証かどうかは、アドレスバーの横に鍵マークがついていること、URLが「http://~」ではなく「https://~」と始まっていることで見分けることができます。
SSL認証では、第三者機関によってそのサイトの安全性が証明されており、かつ安全性の高い暗号化技術が用いられています。
買い物のために個人情報を入力しても、その情報は漏れることなくしっかりと保護されていると思ってよいでしょう。
【不正利用の対策6】不審なメールを開かない
大手企業などになりすまして偽のメールを送りつけるフィッシング詐欺にも注意しなくてはなりません。
大手企業を騙っているとつい油断してしまい、思わずメールを開きそうになった経験がある人もいるのではないでしょうか?
年々その手口は巧妙化しており、一見しただけでは本物か偽物か区別がつかないものもたくさんあります。
巧みな文章であおったり警告したりしてくる文面から、その場の感情に流されてしまいそうになります。
しかしメールを開いてしまうと、添付ファイルからウイルスに感染したり、誘導先のサイトに情報を入力することで個人情報を盗まれてしまったりという被害にあうおそれがあります。
身に覚えのないメールは開かないようにすることが基本です。
それに加えて、ウイルス対策ソフトを導入するなど、万が一メールを開いてしまった場合に備えた対策も有効です。
【不正利用の対策7】カード番号情報を記録しない
ネットショッピング等で買い物をする際、次回からの入力を省略するためにカード番号の情報を記録しておくことができます。
ワンクリックで手軽に買い物ができて便利ですが、安全性を考慮するのであれば利用しないほうがよいでしょう。
企業による顧客情報の流出は、どんなサイトでも起こり得るからです。
いくら企業側で管理に気をつけていても、情報流出は100%防げるものではありません。
利用者の立場からその被害を防止するためにも、カード番号の記録機能は使用しないほうが安全です。

紛失・盗難による不正利用は補償される
いくら気をつけていても、紛失や盗難などによるクレジットカード情報の漏えいや不正利用を完全に防ぐのは難しいでしょう。
場合によっては企業による情報漏えいなど、自分にはまったく利用者に落ち度がないのに不正利用の被害にあってしまう可能性もあります。
そのような事態を防ぐために、「紛失・盗難保険」という仕組みがあります。
紛失・盗難保険はほとんどのクレジットカードに自動的に付帯されています。
紛失・盗難保険は、クレジットカードが紛失や盗難などで第三者に不正利用されてしまっても、その被害額を保険によって補償されるというものです。
たとえ高額の金銭的被害にあってしまっても、利用者は1円も金銭的負担をする義務はありません。
ただし、すべての不正利用のケースが盗難保険でカバーされるわけではないので注意が必要です。
盗難保険は、利用者の責任でないことが明らかな場合にのみ適用されるのが基本です。
紛失・盗難保険で補償されないケース
ここでは、盗難保険で補償されない主なケースを紹介します。
盗難保険のその仕組みや特徴はぜひ把握しておきましょう。
そうすれば、不正利用から自らの身を守ることにつながります。
- 利用者の落ち度で暗証番号が漏えいしてしまった
- 暗証番号が生年月日など予測されやすい番号だった
- カードの裏面に署名をしていなかった
- 盗難被害の申請が遅かった
- 家族による利用があった
- 天災など混乱の中での紛失・盗難
1)と2)は、暗証番号の管理に関することです。
例えば、暗証番号をクレジットカードと一緒に保管していたり、生年月日や「1234」「7777」など予測されやすい番号を設定していたりしないでしょうか?
こういったケースでは、不正利用されても補償の対象外となります。
さらに、クレジット枠とは別のキャッシング枠は盗難保険の補償対象外となっています。
キャッシングの際にはクレジットカードと暗証番号が必要なので、もし両方とも流出してしまうと、キャッシング枠が被害に遭うおそれがあります。
暗証番号とクレジットカードが両方同時に流出することは考えづらいため、利用者の落ち度とされかねません。
「暗証番号はクレジットカードとは別にする」「他人に知られないよう注意する」など、漏えいしないような対策が必要です。
クレジットカードの暗証番号の扱いについてはこちらもご覧ください。
5)は本人以外のクレジットカード利用に関する決まりです。
たとえ家族であっても、本人以外の利用は盗難保険の適用対象外となります。
「家族だから」とつい気を許してしまうのもわかりますが、万が一何かあっても補償されません。
個々でクレジットカードを持つか、家族カードを発行するなどして、家族で1枚のカードを共用するのは避けましょう。

より詳細なケースについては、利用規約で確認することをおすすめします。
補償には期限があるので要注意!
盗難保険には「60日」という申請の期限があります。
不正利用があってから61日以降では、たとえ利用者に落ち度がない状態で不正利用がわかっても、原則としてその被害は補償されません。
60日の期限が過ぎてからでは、被害を取り戻すための術がなくなってしまうのです。
ですから、利用明細は放置せず普段からきちんとこまめにチェックするようにしてください。
カード会社によっては、クレジットカードの利用があると、メールで知らせてくれるといったサービスを提供しているところもあります。
忙しかったり時間がなかったりして利用明細を確認する暇がない人は、こういった機能を利用して履歴をチェックするのも1つの方法です。
利用明細や利用履歴をこまめにチェックすることで、不正利用の発見がいち早く可能になります。
そうすれば、期限に遅れることなく盗難保険を申請することができるでしょう。

まとめ
クレジットカードを使っている限り、不正利用のリスクをゼロにすることは不可能です。
しかし、今回紹介した7つの対策を普段から取り入れることで、不正利用のリスクを大幅に減らすことができるでしょう。
どれも日常生活で少しだけ気をつけていれば対応可能なことばかりです。
それに加えて、「暗証番号の管理」「家族のカード共用の禁止」「利用明細のチェック」「盗難保険の申請期限に注意する」といった基本的なことにも気を配ってください。
不安であれば、手持ちのクレジットカードそれぞれについて、利用規約やカード会社のサイトなどで詳細を確認してみるのもよいでしょう。
使い方次第では便利にも危険にもなりうるクレジットカード。
利用するのであれば、不正利用の被害を防いで、できるだけ賢く使いこなしたいものですね。
クレジットカードって便利ですけど悪用されないか心配ですよね。